◆腰痛、頚部痛、生理不順
【年代・性別】
30代後半 女性
腰痛、頚部痛、生理不順(投薬で無月経)、腹部の張り感、両下腿のむくみ
【既往歴】
子宮筋腫
【来院に至った経緯】
女性経営者 数社経営。仕事が忙しく、身体への負担が多く 腰に時よりピリッとした痛みがありギックリ腰になりそうな感じ、頚の根元付近がいつもスッキリせず 頚が回らない。頭部が固い感じがして、睡眠の質が悪いこと実感。全身の疲労感ぬけず、夕方以降 両下肢の浮腫が強くでる。体力向上、健康管理の為 キックボクシングジムに通ったり、パーソナルジムに通っていて健康への意識が高い。日常生活でのパフォーマンスが落ちてきて 普段は鍼灸院や接骨院を転々としていた。なかなか思っていた成果を感じられず どこか、いい所がないかなと思っていたところ知人の紹介で来院された。
【初診の状態】
右仙腸関節の可動制限
腰部起立筋の過緊張
右後頭部のぼわっとした浮腫感
【所見】
腰部:ROM制限なし・SLR(-.-)・MMT・知覚異常なし。
頸部:ROM制限なし・バレ・リュー (―)、マイグネ(―)
【体表温度検査】
S3、L5、T3、C6、C1
【視診】
右短下肢
右耳介上方
腰部起立筋の膨隆
【静的触診】
仙骨全体に膨らんでいてぼわっとした強い浮腫
右胸鎖乳突筋の過緊張
【動的触診】
右仙腸関節、C1、T3、C6
【レントゲン評価】
頚椎側面 頸部前弯減少傾向 C5/6/7はD3。
骨盤正面 仙骨奇形、腰部左凸。
骨盤側面 L1/2/3 D3。
仙骨基底部に対しての線引き上は、T3PRI、側面像でC6後下方です。
【リスティング】
C1ASR、仙骨P-R、T3PRI、C6PR
【来院日】
R6.2/13・2/27・3/14・3/17・4/15・4/23・5/10・5/24・6/4・6/10
【経過と内容】
腰部のL1~L3の椎間板がD3レベルと慢性的だったため、週2回のケアを提示したが、仕事の関係上週1回のケアからスタートすることにした。
・2週目(2回目のアジャストメント)には、レントゲン評価が出来ていた。仙骨患部上、患部下とアジャストした。明らかに仙骨周りと腹部の浮腫と張り感が減っていた。本人はアジャストメントを受けた帰りには、リュックサックが軽く感じ足取りも軽く喜んでいた。
・5週目(4回目のアジャストメント)には、腰痛 ペインスケールが8→3へ軽減。C1の動きがスムーズになってきて、右胸鎖乳突筋の過緊張軽減。この頃から睡眠の質がよくなり始めてきて疲労感が軽くなってきた。
・10週目(6回目のアジャストメント)には、仙骨を中心に広がっていた全体的な浮腫感が減ってきた。腹部の浮腫も軽減してきたが、深部の筋緊張は残存。
・16週目(9回目のアジャストメント)には、仙骨全体の浮腫感は残存するが、仙骨の可動制が出てきた。
頸部の右胸鎖乳突筋の過緊張はほとんどなくなった。副交感神経へアプローチを続けていたが、C1のサブラクセーションの兆候が見られなくなってきたので、第二アプローチとしてC6をアジャストし始めた。
現在は2週間に1回、継続来院しメンテナンスされています。
【考察】
今回の腰痛の原因は、土台である骨盤の乱れから(仙骨奇形)腰部に必要以上の負荷がかかっていたこと。骨盤から下肢へ伸びる神経機能に異常をきたした結果、生理機能低下による血流が悪く、足のむくみにつながったと考えられる。
生理不順は、脳と卵巣を繋ぐ神経の流れが阻害されることで起こる。生理周期は卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンだけではなく、脳下垂体から出る卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化形成ホルモン(LH)などさまざまなホルモンが関連し合い、1つの周期を作り出している。
自律神経のバランスが乱れたことで女性ホルモンの分泌にも異常をきたと考察します。副交感神経のサブラクセーションにより、交感神経が過剰になることで血行不良が起こり、体全体の代謝や排毒作用が低下してしまう。その結果、子宮内膜や経血を体外に出そうとプロスタグランジンというホルモンが過剰に分泌されてしまう。このプロスタグランジンの分泌量が多くなりすぎると、子宮の収縮が強くなり過剰な生理痛を誘発させてしまう。
神経の流れが整い脳と卵巣のやり取りが正常に行われた結果、長年悩んでいた生理不順が解消されてきたと考えられる。
C1のサブラクセーションの兆候も見られなくなったため、可動制限と体表温度誤差が残存していたC6に移行していくと首の根元の違和感も軽減してきた。
問診だけの情報だけでなく、レントゲンによって客観的に考察。神経の流れが正常ではないサブラクセーションを特定するために、主観的な検査だけに頼らず、体表の温度やレントゲンを用いて客観的に考察することが重要です。
サブラクセーションを取り除き、神経の流れを整えて体の情報を脳へ正しく届けてあげることがいかに重要か分かる症例でした。