❶腰痛、頚部痛、生理不順【神川 利之】
【年代・性別】
30代後半 女性
腰痛、頚部痛、生理不順(投薬で無月経)、腹部の張り感、両下腿のむくみ
【既往歴】
子宮筋腫
【来院に至った経緯】
女性経営者 数社経営。仕事が忙しく、身体への負担が多く 腰に時よりピリッとした痛みがありギックリ腰になりそうな感じ、頚の根元付近がいつもスッキリせず 頚が回らない。頭部が固い感じがして、睡眠の質が悪いこと実感。全身の疲労感ぬけず、夕方以降 両下肢の浮腫が強くでる。体力向上、健康管理の為 キックボクシングジムに通ったり、パーソナルジムに通っていて健康への意識が高い。日常生活でのパフォーマンスが落ちてきて 普段は鍼灸院や接骨院を転々としていた。なかなか思っていた成果を感じられず どこか、いい所がないかなと思っていたところ知人の紹介で来院された。
【初診の状態】
右仙腸関節の可動制限
腰部起立筋の過緊張
右後頭部のぼわっとした浮腫感
【所見】
腰部:ROM制限なし・SLR(-.-)・MMT・知覚異常なし。
頸部:ROM制限なし・バレ・リュー (―)、マイグネ(―)
【体表温度検査】
S3、L5、T3、C6、C1
【視診】
右短下肢
右耳介上方
腰部起立筋の膨隆
【静的触診】
仙骨全体に膨らんでいてぼわっとした強い浮腫
右胸鎖乳突筋の過緊張
【動的触診】
右仙腸関節、C1、T3、C6
【レントゲン評価】
頚椎側面 頸部前弯減少傾向 C5/6/7はD3。
骨盤正面 仙骨奇形、腰部左凸。
骨盤側面 L1/2/3 D3。
仙骨基底部に対しての線引き上は、T3PRI、側面像でC6後下方です。
【リスティング】
C1ASR、仙骨P-R、T3PRI、C6PR
【来院日】
R6.2/13・2/27・3/14・3/17・4/15・4/23・5/10・5/24・6/4・6/10
【経過と内容】
腰部のL1~L3の椎間板がD3レベルと慢性的だったため、週2回のケアを提示したが、仕事の関係上週1回のケアからスタートすることにした。
・2週目(2回目のアジャストメント)には、レントゲン評価が出来ていた。仙骨患部上、患部下とアジャストした。明らかに仙骨周りと腹部の浮腫と張り感が減っていた。本人はアジャストメントを受けた帰りには、リュックサックが軽く感じ足取りも軽く喜んでいた。
・5週目(4回目のアジャストメント)には、腰痛 ペインスケールが8→3へ軽減。C1の動きがスムーズになってきて、右胸鎖乳突筋の過緊張軽減。この頃から睡眠の質がよくなり始めてきて疲労感が軽くなってきた。
・10週目(6回目のアジャストメント)には、仙骨を中心に広がっていた全体的な浮腫感が減ってきた。腹部の浮腫も軽減してきたが、深部の筋緊張は残存。
・16週目(9回目のアジャストメント)には、仙骨全体の浮腫感は残存するが、仙骨の可動制が出てきた。
頸部の右胸鎖乳突筋の過緊張はほとんどなくなった。副交感神経へアプローチを続けていたが、C1のサブラクセーションの兆候が見られなくなってきたので、第二アプローチとしてC6をアジャストし始めた。
現在は2週間に1回、継続来院しメンテナンスされています。
【考察】
今回の腰痛の原因は、土台である骨盤の乱れから(仙骨奇形)腰部に必要以上の負荷がかかっていたこと。骨盤から下肢へ伸びる神経機能に異常をきたした結果、生理機能低下による血流が悪く、足のむくみにつながったと考えられる。
生理不順は、脳と卵巣を繋ぐ神経の流れが阻害されることで起こる。生理周期は卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンだけではなく、脳下垂体から出る卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化形成ホルモン(LH)などさまざまなホルモンが関連し合い、1つの周期を作り出している。
自律神経のバランスが乱れたことで女性ホルモンの分泌にも異常をきたと考察します。副交感神経のサブラクセーションにより、交感神経が過剰になることで血行不良が起こり、体全体の代謝や排毒作用が低下してしまう。その結果、子宮内膜や経血を体外に出そうとプロスタグランジンというホルモンが過剰に分泌されてしまう。このプロスタグランジンの分泌量が多くなりすぎると、子宮の収縮が強くなり過剰な生理痛を誘発させてしまう。
神経の流れが整い脳と卵巣のやり取りが正常に行われた結果、長年悩んでいた生理不順が解消されてきたと考えられる。
C1のサブラクセーションの兆候も見られなくなったため、可動制限と体表温度誤差が残存していたC6に移行していくと首の根元の違和感も軽減してきた。
問診だけの情報だけでなく、レントゲンによって客観的に考察。神経の流れが正常ではないサブラクセーションを特定するために、主観的な検査だけに頼らず、体表の温度やレントゲンを用いて客観的に考察することが重要です。
サブラクセーションを取り除き、神経の流れを整えて体の情報を脳へ正しく届けてあげることがいかに重要か分かる症例でした。






❷慢性腰痛・背部痛み・頭痛【神川 利之】
【年代・性別】
40代前半 男性
【主訴】
慢性腰痛
激しい背部痛み
頭痛
【既往歴】
特になし
【来院に至った経緯】
中国国籍外資系会社の勤務。仕事がら、国内外出張で長時間移動することが多い。同じ姿勢をとることが多く背中の張りを感じ及び腰回りの筋肉が緊張してきて痛む。又長い時間移動で歩くため下半身の疲労を感じることも多い。初回来院の前日には、突然胸部背面の脊椎に激しい痛みがあり深呼吸しても痛む。あまり感じたことのない痛みと症状だったので心配する。疲労が極度に重なってくると ズキズキとした頭痛もある。もともと知り合いのため、第一選択しとして当院来院される。
【初診の状態】
左仙腸関節の可動制限と浮腫
右上部頸椎にスポンジ状の浮腫
後頭下筋の緊張
腰背部起立筋緊張
【所見】
頸部
ROM制限無し
腰部
ROM制限無し
SLR(-、-)
【体表温度検査】
S2、L5、T4、C1
【視診】
左短下肢
右耳介上方
左腰部起立筋の膨隆
【静的触診】
左仙骨翼浮腫
左起立筋 L1~S3まで緊張
【動的触診】
左仙腸関節、L5、T4、C1
【レントゲン評価】
C1ポステリア・ポンティクル
頚部前弯カーブの減少
L5椎間板 D2~D3
【リスティング】
P-L、C1ASR
【来院日】 計9回
R5.11/7・11/8・R6.1/15・3/16・5/3・7/17・9/24・11/18・12/15 計9回
【経過と内容】
腰部の椎間板がD2~D3レベルの慢性度合だったため、週2回のケアを提案したが、仕事の都合もあり不定期ケアからスタートすることにした。
初診の次の日(2回目のアジャストメント)には、主訴の背部痛と息苦しさは軽減。起立筋下部の筋緊張もかなり減ってきた。
18週目(4回目のアジャストメント)には、背部痛全く感じなくなる。筋緊張からくる一過性の疼痛だったように思われる。慢性腰痛のケアに移行する。
38週目(6回目のアジャストメント)には、腰痛、頚の付け根のつっぱり感がなくなり、頭痛がしなくなってきた。
59週目(8回目のアジャストメント) 2か月1ごとのメンテナンスでも、日常生活問題なく過ごせてきた。引き続き経過観察して継続していきます。
【考察】
今回のケースでは自律神経にもとずいた症状より急性症状をメインに始めは筋骨格系にしぼりアプローチを開始した。
来院のきっかけとなった背部痛の急性症状は、寝違えなどの一過性の筋緊張の痛みと考察。
長時間同じ姿勢をしなければならない移動手段や長い時間歩くことなどにより下半身の疲労や椎間板にたいするダメージがかかりつづけ慢性腰痛が発症したと考察。
状態を見極めると左骨盤の動きが悪かったため、慢性的に骨盤サブラクセーションをおこしていたようである。不安定性の期間が長ければ長いほど庇うところが増え、骨盤の変位 神経にも負担となる。
時々ある頭痛は、筋緊張性頭痛だと考察。仕事が忙しく睡眠も少なくなり、喫煙の本数も増えて 交感神経が過剰に働き、常に緊張状態が続きそのような状態が続くと筋肉は過緊張となりやすい。そのため脳は副交感神経によって筋肉を緩めようとするが、その時にプロスタグランジンというホルモンが分泌される。プロスタグランジンが過剰に分泌されることで炎症を起こし痛みを伴ってしまったと考える。
慢性腰痛や頭痛など、なかなか症状が改善されずにいたがサブラクセーションをとり除くことで症状が根本から解消していった。
脳と身体の神経のつながりで問題となるサブラクセーションを特定し、土台理論からアプローチすることが重要とわかる症例でした。


